JANET SHERBOUTNE - Nobody But You
ディスク
紹介
僕が育てているスピーカー「MONO」の声のイメージと一番近い歌声を持つのがJANET SHERBOURNE。
はじめて彼女の声を聴いたのは、JAN STEELE / ZIZ!ENSEMBLEのLP “Desert Island Dusks”でした。
約15年ほど前、大阪アメリカ村にあった伝説のレコード店「人類レコード」 で購入した思い出があります。友人が店に務めていた関係で、開店前の値札の付いていないレコードを購入させてもらえる機会がありました。そっけないジャケットに惹かれて試聴をお願いして、すぐに値段を尋ねることなく購入を決めました。
今から思えば、結構手頃なお値段で譲ってくれたタカラダさん、本当にありがとうございました。
“Desert Island Dusks”のA2にJANETの “Ivory”、A5に “Nobody But You”が入っています。この2曲は、今回ご紹介する7インチシングル盤にも収録されています。
「MONO」で“Ivory”を聴きながら、この音楽のさりげなさに、その後の人生で僕は結構大きな影響を受けているなと感じました。
シンプルで気負ったところがないJANETの歌声とバックの演奏は、僕にとって理想的な音楽のひとつのあり方です。
ふつうの人がふつうに作っているような音楽、日々の生活から自然と生まれ出したような音楽。
スピーカーをつくり始めてから、音楽には凄い情報量があると感じています。この情報量は数値では決して表わせないもので、からだとこころで感じるものだと思います。
“Ivory”で聴こえてくる、音数の少なく小さな音の世界が、僕にはとても豊かな世界に感じられます。
音楽との出会いも縁です。
あの時の25歳の僕が“Ivory”に出会っていなかったら、今の僕は少し違った人間になっていたのかもしれません。
text by 青柳亮